会場の「芭蕉の館」のお庭。やや色づき始めた風情です。さて、先月は名残の表の、冬の月がでたところまででした。もう一句冬の句をお願いしましょう。 霜夜の鶴の遠ざかりゆく 平井 霜夜の鶴とは凍鶴と同様、寒さに耐える姿の鶴で、ひとかたまりの季語だそうです。普通は羽毛のなかに嘴をいれ片足を上げてじっとしている姿を思い泛べますが、この鶴は飛んでいるんでしょうか。 さて、ついに名残の裏に入ります。無季の句を挟みましょう。 磴百段立ち止まりては空仰ぐ 中江 百段も続く石段、それは時々立ち止まりますよね。見上げる空に果てに鶴は消えてゆくのか。 鐘の音消ゆるまでのはるけさ 橋本 石段を上り詰めたところに、鐘楼があ…