てっきり自分もまた中に入れるものだと思っていた。ところがどっこい、夜間入り口でスリッパを履きかけた私はまさかのゴー・ホームを宣告されて、二月の夜に立ち尽くす。 送ってきてもらった父は、ぶつけたワゴン車で去ったばかりであるし、最寄りのスターバックスコーヒーまでは五百メートルほどある。とりあえず家居に電話を入れてお迎えを頼む。こんなことならば、自分は軽トラックで後を追っかけてくればよかった。 さりながら父にぶつけられたばかりの車は、暗がりで損傷箇所も定かではない。そんな危なっかしい状態の車で出発して、腹から出てくる息子と入れ違いになっては笑い話で済まない。 風が吹き払った雲の間からは、よく星が見え…