京を下に見るや祇園のゑひもせす 西山宗因。いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす京、といろは歌の最後に京をつけて覚えていれば、この句の意味は他愛もない。折角祇園で呑んだのに少しも酔えない酒だった、お高くとまっている京なんてしょせん「いろは」の一番下ではないか。井原西鶴の『日本永代蔵』にも「ゑひもせす京」は出て来る。「借屋請状(しやくやうけじやう)之事、室町菱屋長左衛門殿借屋に居申され候藤市と申す人、確かに千貫目御座候」。「広き世界に並びなき分限我なり」と、自慢申せし、子細は二間口の棚借にて千貫目持、都の沙汰になりしに、烏丸通…