・真珠湾の代償 (福井雄三 毎日ワンズ 2022年) 外交官というとどんなイメージなのだろう。語学堪能・華やかな社会。そんな印象だ。国の政策は政府が決める。しかしその判断に向け外交官としては自国を取り巻く国際情勢を把握し国益の為に進むべき方向を提案しなくてはいけない。そんな世界とは知らなかった。辣腕外交官が尽力し今があるのだな。それがこの本を読んだ率直な感想だった。 この書は、激動の昭和を生き抜いたある外交官・加瀬俊一氏(1903年~2004年)の生き様を書いていた。著書福井雄三氏は大学教授であり加瀬氏と子息に直接の知己を得て本著をまとめたとある。明治36年に伊能忠敬の血を引く千葉の名家で生ま…