燃焼などの化学反応を伴う流れの計算では,連続の式と化学種の保存式の化学種に関する総和が一致しなければならない.化学種の保存式の非定常項と対流項の化学種の総和はそれぞれ連続の式における非定常項と対流項に帰着し,生成項すなわち化学種の正味の生成速度の総和はゼロとなる.しかしながら,フィックの法則を用いる場合,拡散係数の取り扱いによっては拡散項の総和はゼロにならず,これが連続の式と化学種の保存式の不一致の原因となり,解析精度や反復計算における収束性の悪化を招く.拡散係数が化学種によらず同じ場合には,化学種に関する総和がゼロになるため,拡散項の総和もゼロとなるのに対し,拡散係数が化学種によって異なる場…