だいぶ久しぶりだけど、お気に入り本棚の11冊目。 北岡正三郎「物語 食の文化 美味い話、味の知識」(中公新書) 著者は農学博士とのこと。 歴史のなかの食べ物の話が、幅広く、しかも系統だてて「物語」のように書かれていて、大変楽しい。 平安時代、夏の暑気払いに飯に冷水をかけて食べた。水飯(すいはん)という。その後飯に冷水をかける湯漬けが登場し、戦国時代に出陣する武将が湯漬けをかき込んで戦場へ向かった。茶漬けが現れるのは江戸時代で、最古の記録は元禄の頃である。煎茶は一八世紀中頃永谷宋円が開発したもので、高価で贅沢品であった。煎茶の茶漬けはご馳走で、客の接待にも用いられた。庶民の茶漬けは番茶の茶漬けで…