私は学生時代は左京区吉田に住んでいて、北白川に住んだことはない。しかし、友人や先輩の多くは、北白川に住んでいた。また、いつの時期の話か忘れたが、京大の先生の多くが北白川に住んだと書かれた本を読んだ覚えがある。ということで、今回は北白川と京大を巡るお話を2冊の本で見てみよう。 昭和17年柴田宵曲にある本が贈られた。柴田の日記*1によると、 (昭和十七年) 七月九日 (略)画廊*2に至れば川田君先程来り川村君よりの「こども風土記」を届けられしよし。八時過西宮に帰る。 この「こども風土記」は、この年の2月に刊行された柳田國男『こども風土記』(朝日新聞社)だろう。文面からは必ずしも柴田に贈られたとは限…