十二の遍歴の物語 (新潮・現代世界の文学)作者:G.ガルシア マルケス新潮社Amazon ガルシア=マルケスと言えば、『百年の孤独』。コロンビアの架空の村コマンドを舞台にブエンディア一族の100年にわたる盛衰描いた長編小説は、圧倒的な密度、スピード、展開で物語のおもしろさを再認識させてくれる。その後、『族長の秋』、『予告された殺人の記録』などを経て書かれた短編集『十二の遍歴の物語』は、いわゆる魔術的リアリズムから連想されるめくるめく世界とは異なり、いちおう普通の小説らしい入口を持っている。 「訳者あとがき」にもあるように、十二の短編に共通するのは、「ヨーロッパのラテンアメリカ人」というテーマで…