南水北調 中国は現代でも漢字の国である。毛沢東は共産主義の知識を、ドイツ語からではなく、マルクスを翻訳した日本語の漢字を読んで学習した。毛沢東という男、中国に厄災ばかりもたらしたが、その精神は今でも生きている。現代中国の2つのスローガン「退林還耕」と「南水北調」といった四字熟語も、その影響下にある。前者は森林などの「荒地」を切り開き、小麦などの穀物を増産しようという試みで、後者は長江など中国南部の豊富な水を、華北に運んで利用しようというものである。いずれも、毛沢東の思想の影響が強い。だが毛沢東は、発想は大胆だが数理的な裏付けはできない人なので、これら2大スローガンも現実との乖離が顕著に見られる…