ある世界の恋物語が、教えてくれました。 「青春は恋だけじゃ育たないから」って。 だからさぁ、手を出して。 行こう。 この星の、願いが叶う場所へ―― すき。 わたしの頭の中を、その二文字が埋め尽くしていた。 人通りが消え、黄金色に染まった黄昏時の通学路。 白いハーフコート、黒ストッキングにブーツ、幅広のマフラー。 春が来るというのに吹く風はまだ冷たいから、いつもの冬支度に身を包み。 「大好きだよ」 真夏で焦がしたような小麦色の肌を赤く染めて。 うるかちゃんが、成幸くんに告白していた。(……こ、これって!) 慌ててわたしは、目についた電柱の裏に身を隠す。 卒業旅行の事、伝えといた方がいいよね。 校…