文学の分野で同学年に敵のいない生徒が、理系の学部を志望している。難しい数式を涼しい顔で片づける生徒が、文系の学部を志望している。この二枚の進路希望を並べて出されたら、担当の教師はまず記入ミスを疑うはずだ。 しかも二人とも、得意な側で見せる姿からは想像がつかないほど、苦手科目では点が伸びない。才能のある側で受ければ通る。ない側で受ければ厳しい。それだけ条件がはっきりしているのに、志望欄は動かない。 三人目もいる。水泳で先を期待されている一方、勉強のほうは手に負えていない生徒だ。この三人の面倒をまとめて見ろと言い渡されたのが、唯我成幸。同じ高校三年生で、彼自身も受験を控えている。天才の側にはいない…