文筆家。1972年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、フリーランス。「哲学の劇場」主宰。id:clinamen
文筆家。1972年3月14日生まれ。 慶應義塾大学総合政策学部卒業。 国書刊行会、ヤフーを経て、フリーランス。 関心領域は哲学、犬猫鳥、卓球、単車、映画、ロックなど。 ※「哲学の劇場」では「吉田浩」の筆名も使用
本を読むのは好きだけれども、読書会には参加したことがない。興味がないわけではないけれども、「この読書会に参加したい!」と思ったことがないのだ。いろんなところで読書会は開催されているけれども、そして興味がないわけでもないけれども、わたしを参加させるにいたらせる「この」に、残念ながら縁が今までなかったのだ。だから、どういう雰囲気でやっているものなのか、よくわからないのだ。どんなことが話されているのかも。ギスギスしているのだろうか? まったりしているのだろうか? 内容に細かい注釈をつけていくのだろうか、それとも本から受け取った印象を漠然と語っていくのだろうか。大学時代にやった、哲学のテクストを教授と…
「人間と大腸菌、どちらが進化した生き物だと思う?」 大学の頃、留学生の友人にこんなことを尋ねられた。当時の私は相手がそう答えさせようとしているのだなと勘繰りながらも、「人間」と答えた。私はてっきり「残念、大腸菌です」という答えが返ってくるのだと思っていた。大腸菌の能力を引き合いに出し、人間より勝っている云々という話が続くのではないかと邪推したのだ。しかしそうではなかった。 「残念、人間も大腸菌も同程度に進化しています。何故ならどちらも環境に適応して生き延びているからです」 成程、確かに言う通りかもしれない。生存戦略として人間は知能を発達させたが、大腸菌は繁殖能力を手に入れたのだ。その進化の差を…