今村夏子『むらさきのスカートの女』 今日は読書の話題です。最近読んだ本2冊の感想。 1冊目は今村夏子の『むらさきのスカートの女』。数年前の芥川賞受賞作だが、なんとなく気になる題名で、一度読んでみようと思っていた。文庫本で160ページくらいの短めの長編(中編)だ。 読む人によって評価が結構分かれる小説かもしれないが、私はとてもおもしろかった。相性のいい作品だった。 主人公の「わたし」(女性)は、家の近所に住んでいる謎めいた「むらさきのスカートの女」のことが気になり、いつも周囲にいて様子を観察している。「むらさきのスカートの女」はボロアパートに一人暮らしで、身なりにも構わず、勤め先もすぐに変わる。…