プロテスタント系コミューンの信仰者としての森と初代文部大臣としての森をつなぐ一本の線を、園田英弘は「制度」への関心と要約している。園田によれば、『明六雑誌』時代までの前期の森の発言を重視して彼を自由主義の思想家と見る議論も、文部大臣となってからの後期の発言を重視して彼を国家主義者と見る議論も、ともに見過ごしてきたのは、森が国家と個人を結びつけるものとして、「制度」の水準を設定していたことである。森は、彼の同時代の誰よりも、このすぐれて近代西欧的な概念である「制度」の社会的作用を熟知していた。(吉見俊哉『大学とは何か』岩波新書、2011) こんにちは。上記の「森」とは、もちろん森有礼(1847-…