中島孤島が『国民の日本史』の鎌倉篇を執筆担当することになったものの、なんらかの事情で途中から降板になり「前篇」のみを執筆、あとの「後篇」は別の執筆者が担当することになった件を先日書いたが、その事情とはどういうことだったのだろうか。 詳細がわかるものは残っていないが、孤島がどのような姿勢で『国民の日本史』の執筆にあたっていたかをさぐってみたい。 『国民の日本史 鎌倉時代前篇』の「序言」の中から孤島の心情が記されている部分を抜粋してみる。 ゛私はこの小著のうちに、あの『羅馬衰亡史』の著者によって示された新民族と新宗教とに対する深厚な同情の幾分でも反映させたいと思った。併し専門の史家でない悲しさには…