アメリカの歴史学者ロバート・ダーントンの『革命前夜の地下出版』(1979年、関根素子、二宮宏之訳、岩波書店<1994年>)を読んだ。大革命以前のフランスの出版状況や著作家たちについて書かれた研究書だ。 本書は、フランス革命直前の出版状況を克明に分析している 内容は6章に分かれ、第1章と第6章が総論、中間の4章が各論という構成。各章のタイトル(内容)は次のようになっている。第1章「革命前夜の政治と文学――啓蒙の思想から<どぶ川のルソー>まで」、第2章「どん底に棲むスパイ」、第3章「逃げまわるパンフレット作者」、第4章「マントの下の書物取引――アンシアン・レジーム末期の地下出版物」、第5章「国境を…