あっという間の崩壊だった。親子2代にわたって、50年間シリアに君臨していたアサド独裁政権が終わりを告げた。北部アレッポの奪回から、2週間足らずでダマスカスに反政府軍が突入している。 報道を見ていると、ロシアやヒズボラの支援を受けていた政府軍は、ろくすっぽ戦うことなく独裁者を見捨てた形だ。かつてアフガニスタンで、ガニ大統領の政府が崩壊したのに似ている。違うのは、ガニは独裁者でなかったこと、支えていたのが米国だったことくらいかもしれない。 2013年に「アラブの春」がシリアにも飛び火し、民主化運動が激しくなった。アサド大統領は徹底的に民主派勢力を弾圧し、特に反政府活動が激しかったイドリブ県では自国…