ようやく陽の目を視たユキノシタである。 東に接する隣家との境界塀ぎわのむしり残しを、数日前に潰したのだったが、ユキノシタだけは、あえてむしらずに目こぼししておいた。似たものがほとんどない特徴ある花を観てから、まとめて始末しても遅くはないからだ。 春先から今日まで、成長力において傍若無人のドクダミやシダに先を越されて、また彼岸花の葉の鬱蒼たる繁りの陰に隠れて、特徴ある円形の葉がろくに眼に着くことすらなかった。さては姿を消してしまったろうか、昨年のむしりが徹底し過ぎていたろうかと、訝られるほどだった。繁茂する草ぐさの葉を描き分けてみると、十円百円硬貨ほどの幼葉が点々と芽吹いていて、絶滅したわけでは…