国文学者F先生との話しは続いていた。 F「さて、のりも君。さっき言ってた八十八夜は今晩あたりなんだけど、 そのいわれは知ってる?」 私「ええっと・・・たしか・・・立春から八十八日目に当たるからだってことだと・・・」 F「そうそう、日本独特の雑節、つまり、民間伝承の季節の変わり目なんですね」 私「あれ・・・民間の節季なんですかぁ」 F「そうですよ。宮中行事なんかには正式なものはないんですよ。だけど、この季節の有名な和歌として、持統天皇が 春過ぎて夏来たるらし白妙の衣干したり天の香久山(万葉集巻一・二八) って詠んでるでしょ。 ここの『夏来たるらし』っていうところがまさに今の時期にぴったりでね。 …