夏至遺文 トレドの葵 (河出文庫) 作者:塚本 邦雄 河出書房新社 Amazon 『夏至遺文 トレドの葵』塚本邦雄著を読む。 短篇小説というと、川端康成の掌の小説、星新一のショートショートなどがある。最近では北野勇作の100字小説なんていうのもある。作者は、「瞬篇小説」と呼んでいたとか。代表的な「瞬篇小説」を収めたそうだ。 最初の作品が『禽』。隣の少女が慟哭している。友だちからもらった鴉の雛が死んでいた。少女は親が殺したと言う。やっと泣き止んだ。妻が断水の知らせを告げに行ったら留守のようだ。玄関わきには、薄気味悪い鴉の剥製が夫が、中の様子を見に行くと死臭が漂っていた。川端も真っ青の作品。つかみ…