前衛短歌運動を主導した戦後の代表的歌人。
1922年生まれ。1951年、第1歌集『水葬物語』を出版。寺山修司、岡井隆らと前衛短歌運動を展開。1985年から歌誌「玲瓏」主宰。1990年に紫綬褒章。2005年6月9日、逝去。
歌集、評論、小説など多数。代表的歌集に『日本人霊歌』ISBN:4803908656 (現代歌人協会賞)。
連弾 (河出文庫) 作者:塚本 邦雄 河出書房新社 Amazon 『連弾』塚本邦雄著 を読む。 河出文庫の「塚本邦雄作品」シリーズの最新刊は「全集未収録の短篇全5篇を収録。初の文庫化。」だそうで。ともかく、じっくりと舐めるように読む。つーか、ぱっぱかとは読めない。人物のいでたちからインテリア、料理、酒、器から音楽、絵画、文学、映画まで細部にいたるまで作者ならではのスタイリッシュな美意識が宿っている。 3篇、紹介。 『奪』大学院で蠅を殺す毒草の研究をしている香也子。画家である美貌の若者・雄飛から故郷に自生している黄天狗茸のことを知る。彼は眼を患っていて近い将来、失明すると。雄飛をめぐっての香也子…
塚本邦雄(1920-2008年)は、第二次大戦後の前衛短歌運動の旗手としてよく知られる。 きっかけは、戦後まもなく歌壇・俳壇に対して突きつけられた「第二芸術論」(1946年)だった。これは短歌型文学の前近代性──日本的抒情、表現の狭小、「何を」より「誰が」詠むかを重視する解釈──を否定する評論であり、呼応する形で、塚本邦雄は「現代短歌」を模索し始める。 第一歌集『水葬物語』(1951年)は歌壇からは無視されたものの、三島由紀夫の激賞を受けた。1950年代から60年代にかけて塚本は、寺山修司や岡井隆らとともに、現代短歌の韻律・語法・情景を整備していくことになる。 その後1980年代に俵万智や穂村…
土曜日。雲は多いが午前中はまあまあ晴れ。空気がビシバシに冷え込んでくるのを感じる。休日なのに平日通り起床。体の重さが尋常じゃ無い。魂を地球の重力に縛られているつもりは無いが、肉体は重力に逆らわず布団にくるまりたがっている。やらなきゃいけないことリストを思い浮かべ必死に起床。休暇中は必要を感じなかったサプリに縋る。朝。チーズトースト。バナナ。ヨーグルト。コーヒー。昼。茹でたパスタにバターと刻みニンニク。コンビニサラダ。夜。白米。きのこ類と豚肉メインの鍋。ほうれん草と人参の胡麻和え。塩揉み胡瓜。食後、ウィスキーを少し舐めるに止める。読書のメモ書きを清書(?)。 * 夏至遺文 トレドの葵 (河出文庫…
菊帝悲歌: 小説後鳥羽院 (河出文庫) 作者:塚本 邦雄 河出書房新社 Amazon 『菊帝悲歌 小説後鳥羽院』塚本邦雄著を読む。 NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を見ていたので、歴史的な流れは、それなりに知っていた。ドラマの終盤に後鳥羽院、後鳥羽上皇は登場、歌舞伎役者の尾上松也が演じていた。どうもそのイメージが強すぎて。 鎌倉幕府を開いた源頼朝。清和天皇を祖に持つ清和源氏だったから、それなりに納得できたかもしれない。しかし、伊豆の一豪族に過ぎなかった北条氏が執権として将軍を傀儡のように操るさまは、許されなかったことだろう。実朝の和歌の才能を認めるも、京での暮しを夢見ながらも実行に移せない…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 183.君に逢ひにゆく傷つきに海よりの夕風はらむシャツを帆として (塚本邦雄) 砂子屋書房「一首鑑賞」で井上法子が取り上げていました。 sunagoya.com この歌は一瞬で引き込まれます。塚本邦雄の歌だと知って、なんていうか「やられたな」って思いました。かっこよすぎる。 井上法子の解説には、この歌が草稿の際は実は一部が違っていたことが書かれています。 君に逢ひにゆく愛されに海よりの夕風はらむシャツを帆として 「傷つきに」行くのか、「愛されに」行くのか。鑑賞文には 思いを寄せる「君」に、作中主体は「逢ひにゆく」。語り…
夏至遺文 トレドの葵 (河出文庫) 作者:塚本 邦雄 河出書房新社 Amazon 『夏至遺文 トレドの葵』塚本邦雄著を読む。 短篇小説というと、川端康成の掌の小説、星新一のショートショートなどがある。最近では北野勇作の100字小説なんていうのもある。作者は、「瞬篇小説」と呼んでいたとか。代表的な「瞬篇小説」を収めたそうだ。 最初の作品が『禽』。隣の少女が慟哭している。友だちからもらった鴉の雛が死んでいた。少女は親が殺したと言う。やっと泣き止んだ。妻が断水の知らせを告げに行ったら留守のようだ。玄関わきには、薄気味悪い鴉の剥製が夫が、中の様子を見に行くと死臭が漂っていた。川端も真っ青の作品。つかみ…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 160.十三階より眺むればあかときの救急車にはあぢさゐが似合ふ (塚本邦雄) 砂子屋書房「一首鑑賞」で永井祐が取り上げていました。 sunagoya.com 塚本邦雄の歌を読むとしばしば、 「おまえオレに言いたいことあるだろう」決めつけられてそんな気もする という俵万智の歌が頭に浮かびます。まさに「決めつけられてそんな気もする」っていうか…。「十三階」「あかとき」「救急車」ときて「あぢさゐが似合ふ」と決めつけられれば確かにー、って感じがしてしまう…。アジテーターの才能ありますよね。 この歌の「読み」については永井祐の鑑…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 147.突風に生卵割れ、かつてかく撃ちぬかれたる兵士の眼 (塚本邦雄) この歌のことを何のきっかけで知ったのかは思い出せません。でも、最近色々考えたので引用してみました。 「読み」に関しては、単純に読むのはそれほど難しくないと思います。 突風に生卵が割れる→黄身が潰れ、白身と交じり合った状態で殻からでろりと流出する という現象と、 かつて戦場で兵士が撃たれ、その眼が撃ち抜かれた→おそらくは脳を貫通し、脳実質などの組織と髄液が交じり合って頭蓋からでろりと流出する という現象が二重写しになって提示されます。 生卵が「突風」…
血圧値 119/81/76 酸素飽和度 98% 体温 36.5℃ 体重 68.2キロ 昨日、『東京ダモイ』が、俳句の分析から解決に到る、という話を書きました。 0430 起床 気分快 雨 「推理小説」を定義します。「読ませる機械」です。『東京ダモイ』を読みました。「抑留」について勉強になります。 - にこたろう読書室の日乗 「俳句」って、僕は作らないんだけど、嫌いではない。 シベリア抑留がテーマの小説、ということで、戦争繋がりですぐさま浮かんでくるのはこの一句。 戦争が廊下の奥に立つてゐた 渡辺白泉 白泉、1939年の句です。(白泉ってこの写真しか見たことないなあ。落語家っぽいね。) 日中戦争…
土曜日。暴力的な日差し。 あと三ヶ月なのにまだ夏健在。 朝。フレンチトーストもどきとコーヒー。ヨーグルトに苺ジャム。 セブンイレブンのニューヨークチーズケーキ(三角のやつ)が消え失せて久しいな、と何度目になるか分からない懐古。 昼。豚カツ屋さんでヒレカツとカキフライ。瑞々しいキャベツを貪り食う。 日中、家の用事を済ませたあとは読書とラクガキ。 なけなしの理性で筋トレ。軽く有酸素運動。動きにいろいろと違和感が生じ始め、ストレッチを真剣にやった方がいいことに気づく。 夜。白米ときのこ汁。秋刀魚。蒸し茄子の生姜和え。トマトと胡瓜のマリネ。ビール。 「人形歴史スペクタクル平家物語」の第三部を録画できて…