ハリスが日本に到着した当時の年齢は52歳。ヨーロッパ人にとっては未開の地で、公務によるストレスから身体を壊しがちだったハリスは健康のためによく歩いており、そのたびに滞在先の下田の自然を賞賛しています。 「1856年9月16日、火曜日 美しく晴れた朝。空がサファイヤのように青い。風は北西から微かに。寒暖計は午前八時に七十六度(注1)。十一時に散歩に出かける。道が江戸湾の方に続いていて、景色はうっとりするように美しい。空は晴朗に―水は青く―白い波頭が立ち、江戸湾対岸の山地(北東岸)がかすかに見える。大きな角帆をつけた日本の小舟が、風をうけて快げに疾走している。この地方は、灌漑の水利がありところは、…