日本語の起源を弥生時代とする従来の説を排し、その濫觴を縄文時代に求めた本書は、“日本語の誕生"のみならず、いわゆる上代特殊仮名遣い、連濁・四つ仮名現象、アクセントの発生、方言分布など、日本語学における難問をここに解き明かした記念碑的労作。 本書まえがきより「弥生期の言語と縄文期の言語の間には血脈の断絶があったと決めてかかっていた。そうした確証は何もないのに、断絶の憶説にいまも研究者はしばられているのである。そのため、系統論はいきなり日本語の祖先を特定しようとして日本の北方に南方に親類縁者を探し求めてきたが、結局それらしい相手を見つけることができなかった。言語の血縁関係を認定するのは「規則的音声…