今年から読み始めてすっかり夢中になっている向田邦子エッセイ。この本にも名作「手袋をさがす」が収録されています。 「手袋をさがす」はやっと少し冷静に読めるようになってきたというか、三度目にしてやっと、人生の転機となった20代終わり頃の著者の転職話として読めました。 転機というのはただ風向きや方向性が変わるだけじゃなくて、自分のなかで見ないようにしてきた弱点を見ることにするかどうかの覚悟のきっかけでもあるんですね。これまで見ないようにしていたことを見て、見て、掘り下げて掘り下げて、まだ掘り下げる。 それをこんなふうに文章にまとめられるなんて、外から見れば明らかに天才。なのに、天才の話ではないものと…