雛鳥は夢を見ていた。 夢の中で空を飛び、雛鳥は再びあの神の前にいた。「籠目も、あなたと同じ年の頃、よく夢の中で私に会いに来たわ」 神は言った。「籠目…」 雛鳥は、よく知る人の顔を思い浮かべた。「それは私の母の名よ」 神は頷いた。「あの嵐と洪水は、母が願ったことなの?」 神は再び頷いた。「私は私の片割れと争いを起こしてから、地上へ降りることはできないの。私の片割れは地上で暮らし、そして私は天上で暮らす、そう取り決めたから。だから籠目があなたを救ってと願った時、私には天上から嵐を起こすことしか出来なかったのよ」「じゃあ、生け贄を求めている神はあなたではないの?」「言ったでしょう。私は天上の神。地上…