■どうせ理解できないでしょ私は、音楽大学で声楽や合唱指導を学んで、それからずっとコンサート運営に携わっている。途中でハンガリーへの留学を挟んで、帰国した後もまだ、コンサートホールで働いている。しかし、私が、いつもクラシック音楽から受け取っていたメッセージは、「どうせ理解できないでしょ」という排他的なものだった。アーティストや音楽が一番素晴らしくて、聴衆はただそれをありがたがるだけの存在とされているように思う。子供の情操教育のために生の音楽を!というコンセプトをもとに行われる、芸術鑑賞教室。学校行事の一環として連れていかれ、強制的に聴かされて、素晴らしかったという内容の判で押したような作文が量産…