エドガー・アラン・ポオの代表作『大鴉』。哀感と音楽とに満ちた物語詩。日夏耿之介氏の飜譯、ギュスターヴ・ドレの挿絵が付いた豪華本を読んだ。 或る厳冬の夜半、亡き恋人を想い悲観に暮れる男の部屋に、黒檀色の大鴉が飛び込んでくる。男はすさびに鴉に名を問う。鴉は答えて云う、「またとなけめ(Nevermore)」と。 詩は6行*18連から為っていて、各連は最後に"Nevermore(もう二度とない)"という語を置いている。詩の中で、男は鴉に問いかけを繰り返すのだが、鴉から"Nevermore"の答えしかなく、その答えを得る度に苦悩を深めていく。 哀傷を荷へるこの魂は 杳かなる埃田神苑に於て、天人のリノアと…