もし自分が病魔に襲われ、日に日に弱くなっていったとしたら…。 その姿を人前では見せたくない、そう思うのが常なのではないだろうか。 しかし、最後の最後まで役者として、その生きざまを公の場で、自らの意思で見せ続けた男がいた。 それが11年7月19日に肺炎で亡くなった原田芳雄だ。 原田は亡くなる8日前の7月11日、自身が企画・主演する映画「大鹿村騒動記」(7月16日公開)の完成披露試写会に、車いすに乗りながら登壇。 舞台挨拶では、やせ細った姿で声が出せない本人に代わり、盟友の石橋蓮司がメッセージを代読した。 詰めかけた客席をゆっくりと見つめながら目を潤ませる姿に、まさに映画人としての執念を感じたもの…