義父と義母の最後の対面を終え、義父の病室へ戻ってから介護タクシーで出発する。まずは義実家へよる。持って行かねばならない荷物がたくさんある。 義父が自分の家を見るのもこの機会が最後だ。ただゆっくりさせてあげる余裕はない。 「最後だからお家を見ておいてくださいね」と言って私は荷物を取りに走る。義父は車の窓から家を見ている。まず冷蔵庫に残っていたバナナ味の豆乳を出して義父に飲んでもらう。甘い物は久しぶりのはずだ。 玄関にまとめてあったのは、小ぶりな洋服タンスや衣類や衛生用品やエンシュア(総合栄養ドリンク)など。私1人ではとても車まで運べなかった。助けてくれたのは介護タクシー運転手のYさん。彼に関する…