日没 (岩波現代文庫, 文芸352) 作者:桐野 夏生 岩波書店 Amazon 小説家が強制収容所に入れられる。 『世界』連載中に読んでいたのですが、やはり桐野夏生の長編は本にまとまったのを一気読みした方がいいね。頁をくる手が止まりません。 冒頭から不穏な空気が漂い、主人公のマッツ夢井が召喚状の指示に従って出向いた場所から車で実質収容所である七福神浜療養所に連れて行かれるまでは、1977年の映画「サスペリア」のはじまりを思い出さされます。つかみはOK、というか、物語世界へ読み手が拉致されてしまう、そんなかんじ。 総務省からの召喚状に「?」となりながらも、そういえばこのまえ「願い書」なるものが送…