【FIRE妄想日記⑤】平日の図書館 平日の図書館。 ほとんど人がいない静かな空間に、一歩足を踏み入れると、空気が変わるのを感じる。 小さな音でも響きそうなほどの静けさ。 だけど、その静けさは張りつめたものではなく、やさしく包まれるような穏やかさだ。 誰にも話しかけられない、誰にも急かされない、そんな時間がずっとほしかった。 ただ(に、息をひそめて椅子に腰掛け、ゆっくりと流れる時間の中に身を委ねる。 あたりを見渡せば、誰もいない書架の並びがずっと奥まで続いていて、自分だけがこの空間を独り占めしているような錯覚に陥る。 今日は何を読むか決めていない。 けれど、それでいい。 気まぐれに歩きながら、背…