真理と価値 価値がその本質に組み込まれているような性質を「規範的性質」と呼ぶ。ここでの問題は、真理が規範的かどうか、つまり真理が或る種のよさとその本質に含むかどうかである。これを肯定的に論じるものを取り上げてみよう。『そもそも真であるというのは正しいということであり、正しいとは規範的なものなのだから、真であるも規範的だろう』がそれである。ただ、真であると正しいが同じかどうかはわからない。もちろん真であるときには正しいというのであるが、「皿の右にフォークがある」ときに「正しい位置にある」というからといって二つが同じ意味にはならない。前者は単にフォークの位置を記述し、後者はなんらかの一群のルールを…