思い出の先生たちは、粒よりの個性に溢れていた。私の通学していた学校では、大都会の学校ではないこともあるのかどうかわからないけど、のんびりした空気が背景にあって、陰キャも陽キャも、生徒からは、先生の個性として受け取られていたように思う。あの頃の、ひとつの教室の中での先生と生徒の独特な空気感。笑いを我慢しすぎて鼻がムズムズしてきたことを思い出す。 ① 「それでは先生」 年の頃は50代、男性。前髪ハラりの白髪まじりの荘厳な佇まいの男性数学教師。いつもパリッとしたスーツを身をまとい、銀色の腕時計をしている。始業ベルと共に静かに教室の扉を開け、教壇に立ち、左腕を高くあげて銀色の時計をみて「それでは~~~…