「終戦の日」によせて② 渡哲也のヒット曲「くちなしの花」(1973年発表)の陰に、ある戦没学生の存在があった。 この歌の作曲をした遠藤実は、戦没学生であった宅島徳光(のりみつ)氏の遺稿集『くちなしの花』の中の詩の一節をモチーフにして曲をつくってほしいとポリドール・レコードから依頼されたという。その詩とは― 俺の言葉に泣いた奴が一人 俺を恨んでいる奴が一人 それでも本当に俺を忘れないでいてくれる奴が一人 俺が死んだらくちなしの花を飾ってくれる奴が一人 みんな併せてたった一人……(宅島徳光『くちなしの花~ある戦歿学生の手記』(光人社NF文庫)P58) 宅島氏の恋人、八重子さんへの切なる想いが表され…