第166話 満天の星とむら護る犬たち 夕陽と時間を共有したイッヌさん。それとなく仲良くなった彼に、途中まで先導してもらい、僕は宿へと帰ってきていた。 「途中まで」と言うのは、実は彼が何かを追いかけて、道中いなくなったからなのだ。 先を歩いていた彼は、あるポイントでぴたりと止まると、急に生い茂る草むらに対して唸り出した。その後しばらく吠えた後、近くからやって来た別の犬と合流すると、激しく吠えながら奥に消えていった。 草むらの藪の向こう側からは、別の甲高い犬の鳴き声が聞こえ、その声を追うように、村の二匹の犬の吠え声は共に、だんだん遠くなっていった。 さっきまで気の良かった彼の豹変ぶりに、僕はしばら…