守護国家論 現代語訳 12 (完) 第七章 全体を七門に分けた第七として、問答形式によって答える。 もし末代の愚人が、上に述べた六門に依って、万が一も『法華経』を信じるならば、権宗の諸人は、自らの迷いに執着するために、偏った教えに執着するために、その『法華経』の行者を破ろうと、『法華経』以前の四十余年ならびに『涅槃経』などの諸経から多くを引用して、非難して来るであろう。 しかし、権教を信じる人は多く権力を持っており、あるいは世間の財力があり、あるいは世間を渡るために人々の心に従っており、あるいは、権教には学者が多く、実教には智者が少ないこともあり、このように万が一も実教を信じる者はいないのであ…