安全保障貿易管理

目次 はじめに 背景：技術管理強化の必要性 重要管理対象技術の指定 事前報告制度の概要 官民対話スキームの構築 罰則等 企業への影響と対応策 まとめ はじめに 日本政府は、国家安全保障と経済的競争力を維持するため、技術管理の強化を進めています。その一環として、「重要管理対象技術告示」が制定され、特定の技術の国外移転に対する事前報告制度が導入されました。 本記事では、この告示の背景、内容、そして企業への影響について見ていきます。 背景：技術管理強化の必要性 近年、先端技術の軍事転用や不正な技術流出のリスクが高まっています。特に、日本が世界的に優位性を持つ技術が他国に流出することで、国家安全保障上…

目次 はじめに 輸出管理の必要性 輸出管理の対象となる規制 輸出管理の手順 違反時の行政制裁と罰則 行政制裁 罰則 まとめ はじめに 輸出管理（安全保障貿易管理）とは、国際社会の平和と安全を維持するため、武器や軍事転用可能な製品・技術が大量破壊兵器の開発を行う国家やテロリストなどの手に渡らないよう、輸出を規制することを指します。 以下に輸出管理の基本についてまとめました。 輸出管理の必要性 日本製品の多くには高度な技術が使用されており、これらが不適切な相手に渡ると、国際的な安全保障上の問題を引き起こす可能性があります。 そのため、企業は輸出前に製品や技術が規制対象に該当するかを確認し、必要に応…

目次 デミニミス・ルールとは 米国原産品目の範囲 EAR対象性の判断基準 ポイント デミニミス・ルールとは 米国原産品目が組み込まれた非米国製品目において、米国原産品目の組込比率*が、特定の稀少レベル（de minimis）以下の場合には、EARの規制対象としないルールのこと（＝輸出・再輸出または移転時に、米商務省BISの許可が不要） 組込比率：米国原産品目が、当該品目の価額全体に占める規制対象となっている米国原産品目の価額の割合のこと 米国原産品目の範囲 米国原産の品目（物品・貨物、ソフトウェア、および技術） 米国原産品目が含まれる米国外（ie.日本国内）で生産された製品のうち、以下のいずれ…

目次 米国輸出管理規則(EAR)とは 規制範囲 判定の流れ ポイント 米国輸出管理規則(EAR)とは EAR = Expor t Administration Regulations 米国法における輸出管理規則のこと 規制範囲 ある貨物が米国から輸出されるとき 米国以外から再輸出されるとき 図解1.（出典：CISTEC） 図解2.（出典：CISTEC） 判定の流れ 輸出・再輸出する品目に、ECCN（Export Control Classification Number: 日本の条番のような）があるか？ ECCNなし→EAR99 ECCNあり→次へ CCL（Commerce Control L…

目次 包括許可とは 包括許可の種類と概要 特別一般包括輸出・役務取引許可マトリックス ポイント 包括許可とは 包括許可が適用できる貨物や技術の場合、需要者や用途等に問題が無ければ、直に出荷することが可能となる制度のこと 個別許可申請と比較し、輸出手続きの簡素化・迅速化が期待できる 個別許可申請では、申請都度、少なくとも「輸出許可申請書・申請理由書・契約書等の写し」が必要とされ、経済産業局へ申請後は、許可取得まで数日を要する 輸出管理内部規定を経産省に提出し、コンプライアンスの徹底が要求される 一般及び特別一般包括許可の有効期限：許可が有効となる日から起算して３年を超えない範囲内で経済産業大臣が…

目次 通常破壊兵器キャッチオール規制とは 輸出令第4条第1項第三号（貨物） 貿易外省令第9条第2項第七号（技術） 許可申請が必要な場合 ポイント 通常破壊兵器キャッチオール規制とは 2023年のワッセナー・アレンジメント(WA)総会での合意により導入された規制 輸出令第4条第1項第三号（貨物） ハ その貨物が別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物（核兵器等に該当するものを除く。ニにおいて同じ。）の開発、製造又は使用のために用いられるおそれがある場合として経済産業省令で定めるとき。 （経済産業省令・・通常兵器開発等省令、客観要件（用途要件）） ニ その貨物が別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物の開発、…

目次 大量破壊兵器キャッチオール規制とは 大量破壊兵器とは（輸出令第4条第1項第一号イ） 許可申請が必要な場合 ポイント 大量破壊兵器キャッチオール規制とは 1991年湾岸戦争終了後、イラクに対する国連等の査察の結果、イラクがリスト規制に該当しない製品を使用して大量破壊兵器の開発等を行っていた事実が判明したことから導入された輸出規制のこと 大量破壊兵器とは（輸出令第4条第1項第一号イ） イ その貨物が核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置又はこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機であつてその射程若しくは航続距離が三百キロメートル以上のもの（ロ、第…