以前から気になっていた稲垣えみ子『寂しい生活』(東洋経済新報社、2017)という本を読んだ。 タイトルからしてなにか他人事ではないような気がしていたのだが、しかし、予想していた内容とはだいぶ違っていた。 この本は、現代人にとって「豊かさ」とは何かという考察なのである。 著者の稲垣さんは、福島の原発事故をきっかけに積極的に節電に取り組むようになる。 家電のコンセントをこまめに抜くところから始まり、やがて掃除機を捨て、電子レンジを使わなくなり、順調に電力消費を減らしてきた。 ところが、東京に転勤になった時、うっかり「オール電化」のマンションに引っ越してしまう。(うっかりしすぎだろう) 「オール電化…