46 「諸人登山」(しょじんとざん) 本作は『冨嶽三十六景』の中で唯一富士山頂を画題として、富士山の姿をあらわさず、富士山の内部を描いた作品となっています。画中の金剛杖を手に行衣をまとった人々は富士信仰を背景とした富士講と呼ばれます。富士詣という修行のひとつである登山行事を行っており、山頂の噴火口を一周するお鉢巡りをしているシーンが描かれているようです。 左側がやや赤みを帯びて輝いており、岩室にうっすらと光が差していることから、日の出直前の早朝であると考えられます。 ・『冨嶽三十六景』は、天保初年(1830年)頃から版元・西村永寿堂によって出版されました。当初は36図で完結する予定でしたが、人…