芯から冷える寒さが来ていた。 日本中を寒波が覆っているとニュースは言っていたが、ここも例外じゃない。 夕ぐれ食堂の暖簾をくぐった瞬間、外気が背中にまとわりついたままだ。 「……さすがに今日は寒かね」 コギンちゃんは肩をすくめ、いつもの席に腰を下ろした。 「ですね。朝からずっとこの調子です」 ガンちゃんはコートを脱ぎ、きれいに畳んでから座る。 声の調子は、いつも通り落ち着いている。 カウンターの向こうで、弓子さんが鍋に火を入れた。 ふわりと立ち上る湯気に、酒粕の匂いが混じる。 「今日は粕汁にしました。こう寒いと、これが一番でしょう」 「ありがと、弓子さん」 コギンちゃんが即座に返す。 「体があっ…