戦後初のクラシック三冠を成し遂げ、後に天皇賞、有馬記念をも制し五冠馬となった名馬「シンザン」は、長くいい足を使う走りや大きな着差を付けずに勝利する勝ちっぷりから、「ナタの切れ味」と言われ、それは競馬ファンなら誰でも一度は聞いたことがある、というほど有名な言葉である。この「ナタの切れ味」と表現したのは「シンザン」を管理する調教師の武田文吾氏であるが、その言葉には実は前段があって、「コダマはカミソリ、シンザンはナタの切れ味。ただしシンザンのナタは髭も剃れるナタである。」というものだった。コダマはシンザンがデビューする前年に引退した、シンザンと同じ武田文吾調教師が管理する、皐月賞、ダービーを制した二…