1908年(明41)大学館刊。小原夢外という作家名についてはほとんど情報が見つからなかったが、下掲のブログ記事により小原柳巷 (1887-1940) と同一人物であったことがわかった。明治末期の20代に夢外、大正時代の30代に柳巷、そして昭和初期には流泉小史と称して「幕末剣豪秘話」で評判を得た。こうした「転名」の作家は少なくなかったように思う。版権契約のせいだったのかも知れない。 「死骸館」とは米欧で身元不明の死体を陳列する施設を言う。(下記参照)英国小説の翻訳と思われるが、原著名は不詳。珍しくも豪州メルボルンが舞台となっているが、人名だけは日本名に置き換わっている。河岸に流れ着いた櫃に金目の…