賢治のように菩薩になりたかった人においては修行の初めに必ず起こす4つの誓いがある。「四弘誓願(しぐせいがん)」と言われているものである。仏教における「純粋な心」での「強い信仰心」は,大乗仏教的には「菩提心」と呼ばれている。さとり(菩提,bodhi)を求めて世の中の人を救おうとする心のことである。賢治は,島地大等編纂の『漢和対照妙法蓮華経』に出会って2年後の大正5年(1916)にこの誓願を立てたと言われている。『新校本宮澤賢治全集十六(下)補遺・資料 年譜篇』(2001)に「大正5年7月5日(木)保阪嘉内と岩手山登山 神社参拝 誓願」とある。 賢治は「みんなを幸い」にすることあるいはその道を探す…