昭和60年ごろ、ある大学から駅に向かって、国文学者のF先生と歩いていた。 F「おお・・・ここらあたりの田んぼは、稲がすっかり刈り取られてますねぇ・・・ まさに9月の小田刈月ですねぇ・・・」 私「おだかりづき・・・ですか・・・」 F「そう。秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ・・・ですねぇ」 私「てんち・・・てんのう・・・でしたか?・・・」 F「そう言われてますね。 ま、稲刈りはたいへんなんですよ。 わが家近くの農家さんも家族総出で稲刈りをするっていってましたからねぇ・・・ まさに 『苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ』 の状況ですねぇ」 私「え?」 F「ははは・・・農業はたいへ…