岡本功司『人生劇場主人・尾崎士郞』永田書房を読了。 『人生劇場』で知られる小説家・尾崎士郞と長年にわたって懇意な付き合いをしてきた著者が、自分の見聞きした尾崎士郞のエピソードを中心に描いた評伝。なので、作家デビューするまでの話は、比較的あっさりしているし、小説の執筆活動とか、どういう媒体にどういう小説を書いてきたのかとか、そういう話はほとんどない。尾崎士郞という小説家の人となりを描きたかったということなのだろう。 どんなに忙しくても、近寄ってくる人間を邪険には扱わず、集まってくる人を大切にした人だったらしい。そのため、家には常に複数人の来客がおり、よくまあそんな環境で小説の執筆ができたものだと…