プロウィンキア(provincia)
一般にはローマ帝国(古代ローマ)の海外(イタリア外)支配地のこと。ローマ市という「中央」に対する「地方」の意で用いられることも多い。
provincia -ae f. [employment , sphere of duty, office, esp. that of a magistrate]. Transf. [a country governed by a Roman magistrate, a province].
にもあるように、本来は「職務の範囲」程度の意であった。
第一次ポエニ戦争の結果、紀元前241年にシチリア島(シキリア)を初めての海外領土として獲得したローマは、これを統治するにあたって、従来の同盟に基づく形態ではなく属州という形態をとった*1。続いて紀元前234年に獲得したサルディニア島も属州とした。
属州に対しては地租や人頭税などの課税が行われたが、基本的には(ローマの利益を損なわない範囲であれば)従来の法制度や慣習が維持された。属州の支配者(属州長官、総督などと呼ばれる)にはコンスルやプロコンスルやプラエトルなどが任命された*2。属州長官は属州内におけるインペリウム(軍指揮権)の他、収税権や裁判権などの強力な政軍両面の権限を持っていた。後に共和制が崩れてゆくにつれ、有力者が属州で富と力を蓄え、中央政界に打って出るという図式が強まってくる。