1926年(大15)村田松栄館刊。 作者の吐峰山人(とほう・さんじん)については、生没年とも不明。大正期から昭和初期にかけて歴史物、講談物、探偵物、冒険物の分野で著作を残している。明快な文章で読みやすい。この作品のタイトルは英語カナ表記で「ヘッド」と付いていたので、洋画のノベライズ本ではないかと思って読み始めたが、泥亀の音蔵という強盗殺人犯とそれを追尾する巡査部長との抗争劇だった。音蔵が仲間を誘って芝居を仕立てて財布を盗む計画を立てるが、見事に裏をかかれて失敗するなど、漫談じみたスリルもあって楽しめた。当時の東海道線の旅客事情も珍奇に思えた。☆☆ 国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信…