妖怪庇借り 【出会い】私は雷渡(らいと)大学生をしている午後四時を少し過ぎたころ、講義の帰り道で急な雨に降られた。 「ピカッ、ドカーン」公園の方に雷が落ちたようだ。 公園を横切ると、生臭いにおいがしてアーチのオブジェが壊れかけていた。ブランコの方を見ると、小さな影が立っているのが見える。 子供だった。 傘もささず、服はびしょ濡れ。両腕を抱え、じっと震えていた。手に何かを握りしめているようだ。 「どうしたの? 迷子?」と声をかけると、子供はゆっくりと顔を上げた。 青白い肌。黒目がちの、どこか遠くを見ているような瞳。一瞬、ぞくりとしたが、目を逸らすことができなかった。 口が小さく動き、掠れた声が漏…