庭園の花々は上品に揺れていた。美しい空の色とやわらかい風に包まれ、咲き誇っている。だが、今はどこか落ち着かない。ご主人様の心が、稀にしか出会えないあの香りへ向いているのを、彼らは知っていた。 花々は歌う。ご主人様と、稀有な存在のために。 国王は窓辺に置いた小さな花瓶を眺めていた。執務中にもかかわらず、幾度となく花瓶に目を向けてしまう。花瓶には、前日に持ち帰った青い花を生けてある。久しぶりに見た花をすぐに乾燥させるのは惜しく、しばし愛でることにした。執務室には、花の甘くさわやかな匂いが淡く香っている。 国王は窓辺に立つと、指先だけそっと触れた。花びらは生き生きとし、色は失われていない。葉もしなや…