なかなか役者だ、床次サンは、床次竹次郎という人は――。 「時局重大な時だ、鈴木、床次と争ってゐる場合ではない、鈴木が総裁になり、又大命が降下した場合、僕は入閣せんでも党務に骨身を入れてやる決心だ、これからが本当に政治をやるのだよ」 総裁選に敗れた直後、大袈裟にいえば日本のトップに立ち損なったばかりであるにも拘らず、こんなセリフが吐けるのだから。 (Wikipediaより、床次竹次郎) 帝都を、否々、日本じゅうを震撼せしめた一大不祥事、五・一五事件。石山賢吉の筆法を借りれば「軍服を着た狂人」どもに暗殺された犬養毅は、むろんただの男ではない。 当時の与党・政友会総裁にして、現職の総理大臣である。 …